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カメラのほうは、1万円と10万円では機能と性能に大差が出てくる。
メガネは自分が見るものには違いないが、それよりも見せびらかすという要素が大きい。 高価なものほどその傾向が強いといえる。
「俺はこんな高価なメガネをかけているぞ!」と自慢をしているわけだ。 こうした立場のくいちがいは、住まいについてもいえることである。

というのは、近ごろは住宅を手に入れる際、住みやすいかどうかという機能主義的な観点が忘れ去られ、虚栄的な発想で選ぶ人が多いのではなかろうか。 たとえば、東京の都心に次つぎと建てられる超豪華マンション。
各戸の入口では、デンマーク製門灯の淡い光が、イタリア産大理石をはめたポーチの床を照らしている。 そして、ドアにはベルギー製の彫金をほどこした金メッキのノブ。
こうした成金趣味といわれるものは庶民には縁遠いように見えるものの、逆に俗物としての庶民の虚栄心をくすぐってあまりあるものである。 また、新聞のマンション広告を見ても、「神宮の森はまさに目の前」「豪邸と緑。
デンマーク大使館跡」といった、大キャッチフレーズがおどっている。 こうした傾向は、マンション、一戸建て住宅だけでなく、すべての住まいに当てはまるようだ。
たとえば、部屋にマッチしないシャンデリアを買ったり、玄関のドアにだけりっぱなものをつけたりする人はけっこう多い。 開け閉めの激しいお勝手のドアがお粗末で、めったに開けない玄関のドアにおカネをかけたりしているのを見ると、発想の貧しいことがわかる。
ユーザーとしての発想というのは、住まいを考えるときのもっとも基本的な視点である。 虚栄心だけを満足させるオーナー志向というのは、住まい方、暮らし方の実質よりも、容れ物である「住まい」そのものの見かけの。
価値”を重視するおかしな発想である。 必要なのは照明器具というハードウェアではなくて、照明というパフォーマンスなのだ。

現代は、目的がはっきりしないものが多く、デパートやスーパーマーケットで見かけるドッグーフードにしても、パッケージのデザインを美しく飾りたてることで犬の飼い主に買わせようとしていることは明らかだ。 犬にしてみればドッグーフードの昧と栄養が大問題なのであって、飼い主の目をひく飾りにばかりカネをかけられては、人としてもたまったものではない。
なにか、いまの住宅のあり方に一脈通じるものを感じる。 もっとも、犬も食わぬものもあるよ松竹映画の人気シリーズ「男はつらいよ」は、日本映画史上最長のシリーズだそうだ。

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